ついにバックオフィスの募集が開始されたイドルシア(idorusia)。
おそらくファブリー病治療の概念を変えることができる薬剤を開発しているこの会社のポテンシャルはすごいものがあると考えています。
そこで、ルセラスタットの可能性も含めて、今回はイドルシアについてご紹介をしたいと思います。
ファブリー病治療のゲームチェンジャー、ルセラスタット
ファブリー病とは
ファブリー病はグロボトリアオシルセラミド(GL-3)という成分を体の中で分解する酵素(α-ガラクトシダーゼ/α-GAL)の働きが弱い、あるいは酵素がないために、 GL-3が分解できず、体にたまる病気で、全身にさまざまな症状がみられます。
ファブリー病は、血管や心臓、神経など全身のさまざまな細胞にGL-3がたまるため、子どものときに手足の痛みや、汗をかきにくい、発疹といった症状が現れることや、大人になってから心臓の病気、腎不全などの病気が現れることがあります。
症状の現れる時期や種類、程度は人によって異なります。
ファブリー病はとてもまれな病気で、 以前は欧米人男性の場合、患者さんは4万人に1人1)いるといわれていました。最近は、以前考えられていたより高い頻度で患者さんが認められることが報告されています。
診断された患者さんは病気を進行させないために、治療を続けることがとても大切です。
ファブリー病のように、体の中の細胞(ライソゾーム)に分解できないものがたまってしまう病気は50種類以上あり、「ライソゾーム病」と呼ばれています。
ファブリー病を含む「ライソゾーム病」 は、国の社会保障制度で、「指定難病」および「小児慢性特定疾病(18歳未満)」に指定され、医療費助成制度等の対象となっています。
ファブリー病の治療について
現在の主な治療法は、不足しているα‐ガラクトシダーゼ(α-GAL)酵素を補充する「酵素補充療法」です。
α-GAL酵素を点滴によって体の中に補充することで、臓器の細胞内に蓄積したグロボトリアオシルセラミド(GL-3)が分解され、症状の進行を抑えることができます.
従来の治療に加えて、近年では新たな治療法、「シャペロン療法」に注目が集まっています。
シャペロン療法は働きが悪い酵素α-ガラクトシダーゼ(α-GAL)の構造を安定化させ、酵素としての働きをサポートし、GL-3をためずに分解できるようにする治療法です。2日に1回、飲み薬を服用します。
全く酵素ができない場合やもともと酵素活性がない場合には効果がないため、投与前に患者さんの遺伝子の変化を調べる必要があります。
シャペロン療法の欠点を改善した薬剤、基質合成阻害剤
シャペロン療法に用いられる薬剤は働きが悪い酵素に寄り添い、その酵素の活性を高める働きがあります。
いわば、タッチで言うところの朝倉南ちゃんのように、陰ながら主人公を盛り上げる薬剤です。
この主人公にはかっちゃんのように素直に反応する酵素もあれば、たっちゃんの様に反応が鈍い酵素があります。
これが、シャペロン効果は変異型特異性があり、すべての変異型に有効ではないといわれる所以です。
現在、ファブリー病治療に使用されているミガーラスタッドは遺伝子検査の結果、反応性が良い遺伝子を持つファブリー病の患者さんでなければ使うことが出来ず、患者さんを選ぶ薬剤でした。
今回、イドルシアが治験を開始しているルセラスタットはこの遺伝子に関係なく使用することができる経口治療薬で、治験の結果次第では、従来のERTの患者さんから切り替えが進むことが期待されています。
この後の採用情報については、まだ収集が出来ていないのですが興味のある方は早めに情報収集を始めた方が良さそうです。