薬剤を通して人々の健康をサポートする薬剤師は、2年に1度、資格保持の届け出が義務付けられています。
病気に対するさまざまな研究が重ねられ、医薬品も日々進化していく中だけに薬剤師には常に最新の知識が求められますが、届け出時に試験などはないため現状の知識や技術を見極めることができません。
そこで、より質の高い知識を習得している証明として、1994年から「認定薬剤師」の制度がスタートしました。
ここでは、キャリアアップにつながる認定薬剤師のメリットなどについてご紹介します。
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認定薬剤師とは
認定薬剤師は、「認定薬剤師制度」による一定期間の研修や実技を通して、定められた単位を取得し、最新の知識や技術を有していると認められた薬剤師のことです。
薬剤師としてふさわしい資質を維持するため常に自己研鑽に努めていて、時代に即した薬学ケアができる薬剤師であることの証明になります。
認定薬剤師制度では、各分野における専門的な研修も受けることができます。例えば、薬剤師認定制度認証機構(CPC)では、職能の向上を目的とする「生涯研修」、さらに焦点をしぼった特定分野・領域について学習できる「特定領域」、特定の疾患や診療領域等を対象にチーム医療や地域医療等に貢献する「専門薬剤師」などの認定制度を用意しています。
キャリアアップにつながる認定薬剤師はどれか
認定薬剤師にはさまざまな種類がありますが、ひとつ取るにもそれなりの年数や費用がかかってしまうため、やみくもに取るわけにはいきません。
現在携わっている業務内容や自分の目指すキャリアなどから、どの分野を極めたいかよく考えて選ぶようにしましょう。
なお、キャリアアップにつながりやすいおすすめの認定薬剤師は次の2つですです。
がん薬物療法認定薬剤師
認定概要
認定団体:日本病院薬剤師会
がん医療における薬物療法などの知識と技術をもとに、がん患者へ質の高い薬剤業務を提供します。認定期間は5年で、将来的に「がん専門薬剤師」を取得することもできます。
認定取得概要
認定を得るためには、次の条件を満たしていなければなりません。
認定を得るためには
・薬剤師としての実務経験が5年以上で、日本病院薬剤師会の会員である
・日本病院薬剤師会が別に定めるいずれかの学会の会員である
・日本病院薬剤師会が認定する研修施設で、所定の実技研修を3ヵ月以上履修している。または、研修施設で3年以上がん薬物療法に従事しており、所属長の証明がある
・日本病院薬剤師会が主催、または認定する講習会などで、40時間20単位以上を履修している。ただし、その内12時間6単位以上は、日本病院薬剤師会主催の講習会で取得している
・がん患者への薬剤管理指導の実績が50症例以上(複数のがん種)
・病院長、あるいは施設長などの推薦がある
・日本病院薬剤師会が行うがん薬物療法認定薬剤師試験に合格している
認定試験では、がんの基本的な知識のほか、がんの薬物療法に関する知識や医薬品情報など、専門薬剤師として必要な知識を問われる筆記テストが行われます。
受験料、更新審査料は、日本病院薬剤師会の会員なら10,000円(税別)、非会員の場合は15,000円(税別)で、合格、更新認定の際は認定料20,000円(税別)を納めます。
働くことができる職場、仕事
がん治療を行っている病院や施設、がん研究センターなどで活躍することができます。
プライマリ・ケア認定薬剤師
認定概要
認定団体:日本プライマリ・ケア連合学会
医師や看護師などといっしょになって、患者の健康福祉に関わる問題を総合的に解決していきます。
誰もが質の良い医療を受けられるよう、患者を総合的に見て必要な対策を判断できる能力や、地域医療などで多職種との連携能力などが求められます。
認定期間は3年です。
認定取得概要
認定を得るためには、次の条件を満たしていなければなりません。
認定を得るためには
・日本プライマリ・ケア連合学会が定める研修の場で、初回申請では4年以内に50単位以上を取得。ただし、同会主催の研修会と同会関連の指定講座が合計30単位以上あること
・見学実習などは半日1単位とし、計8単位あること(申請の50単位に含めて良い)。実施先、担当医氏名を記入
・10の必須領域を各2単位、計20単位取得していること
・日本プライマリ・ケア連合学会主催の研修と同会関連の指定講座の単位数は、同会の受講証単位数の合計と一致すること
認定試験では、救命処置や薬剤師としての対応などプライマリ・ケアに必要な知識を問う問題が、記述式と正誤等の選択方式で出され、合格すると認定証が発行されます。
審査料は本学会員10,000円、非学会員は15,000円(更新時の認定審査料も同じ)。合格の際は登録料10,000円が必要です。
働くことができる職場、仕事
病院や施設の調剤薬局などのほか、在宅医療にも関わることができます。また、「かかりつけ薬剤師」としての活動にも向いています。
認定薬剤師のスキルを活かせる職場の見つけ方
医薬分業のもと、各分野で認定薬剤師の積極的な採用が見られるようになった今日、認定取得後に自身のスキルを活かせる職場へ転職する認定薬剤師も増えてきました。
とはいえ、いまだ「多い」といえるほどの求人数はなく、条件に合った転職先を探すのは簡単ではありません。
そのため、転職の際は薬剤師専門の求人サイトを中心に探すのが一番効率的です。
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